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サウナインタビュー #1 - ジョン・ペダーソン

今回は、アメリカミネソタ州のミネアポリスで612 Sauna Societyというモバイルサウナのコミュニティを創設したジョン・ペダーソンさんへのロングインタビュー。612 Sauna Societyをコープ(共同オーナー組合制度)へと組織化させたり、ミネソタ州にあるオシャレなブティックホテル「Hewing Hotel」に本格的なサウナを作り、アウフグースプログラムを考案、運営に関わったりと、サウナ後進国の北米において常に面白いサウナプロジェクトを手がけている彼に話を聞きました。

1) 去年ミネアポリスのへウィングホテルでサウナのプロジェクトを始動されました。アウフグースのセッションをしたり、とても面白い取り組みをされていますが、プロジェクトはどうやってスタートし、実現化したのですか?

このプロジェクトは、ホテル建設前から始まっていました。4年くらい前に私の友人がバックヤードサウナ(*1)に友達を連れてきたのです。その友人ティムは、当時新しいホテルの建設の計画に取り組んでいる最中でした。その時、サウナ建設がすでに彼の構想にあったのか憶えていませんが、自分のホテルに作るサウナは私のバックヤードで体験したものと同じくらい良いものを作ると決心していました。それ以来私たちは友達になり、それがきっかけで現在私はコンサルタントとして関わることになりました。ホテル屋上で本格的なサウナ体験を提供し、サウナ愛好家たちが集まる場を生み出し、かついかにそれを事業化できるかについて経営者たちにアドバイスを行なっているのです。

(*1)ジョンさんが自宅のバックヤードに初めて自作したモバイルサウナ「ファイヤーハウス・サウナ」のこと

ヘィングホテルの共同オーナーである、ティム・ディクソンさん。

ジョンさんが、最初に手がけたサウナプロジェクト「ファイヤーハウス・サウナ」に

2) へウィングホテルのサウナはどんな作りになっているのか教えてください。

ホテルのサウナはとても大きく、上段のベンチからはミネアポリスの市街地の美しい景色が眺められる作りになっています。最大22人収容可能なこのサウナにはTylo Heloの電気ストーブを2台装備しており、入り口のドア付近に1台ずつ置いています。窓に沿ってL字型にベンチがあり、その前に広いスペースがあるので、とても広々とした開放感を与えてくれるサウナなのです。

美しいデザインはもちろんのこと、熱効率も綿密に考えられたサウナ室。

3)へウィングホテルと、612 Sauna Societyプロジェクトはタイプが異なるプロジェクであったと思いますが、その過程においてどんな違いがあったのでしょうか?ホテルのプロジェクトはパートナーシップの下に行われ、サウナソサイエティーの方はキックスターターでご自身で資金集めを行うところから始まっています。それぞれのプロジェクトにおいて面白かった点、難しかった経験などを教えてください。

二つのプロジェクトはサウナのある立地、そこで経験できる内容においても全く違うものですが、両方のプロジェクトがうまく行った要因は、出資者たちと協力的なよい関係づくりができからだと感じています。612 Sauna Societyを協同組合へと組織を変えたことでとても興味深く、おもしろいと感じている点は、私たちが提供しているサービスは(=仲間で作り上げるサウナ体験)参加している人たちが一丸となり、自分たちが共有、提供したいと思うものを作り上げているということだと思います。このようにして、組合員たちによって提供されるサービスやその経験は、より活性化し、利用者たちのコミュニティに還元できる可能性があるものだと考えています。(なぜなら運営、利用する人の多くは共同オーナーたちであり、彼らが望むことならば実現可能なものなのです)

へウィングホテルのプロジェクトの最大の魅力は、サウナのデザイン、空間自体の美しさはもちろんのこと、私はコンサルタントとして関わり、実際の運営をしているわけではないので、どんなプログラムや経験を提供できるかを考えられるのが、とても楽しいです。

ジョンさん(写真真ん中右手)がアウフグースを始めるところ

3) へウィングホテルのサウナを利用するお客さんは、ホテルの宿泊客、地元の方、どちらが多いですか?

大半は地元の人たちです。ドイツのアウフグースを行うセッションはとても人気があります。アウフグースのセッションが人気の理由は、参加者がサウナによる肉体、精神的な効果を享受し、温熱浴の本質的な良さを感じているからだと思います。

参加者はアウフグースで熱波を感じながら、深いリラックス瞑想状態

4) アメリカでは本格的なサウナがまだ知られていませんが、サウナのセッションを始める前にエチケットや正しい入り方を初心者の人には説明していますか?

はい、できる限りの説明をするように心がけています。私の説明を理解してくれる人は、サウナに入る前にしっかりと説明書きを読んでくれることに気づきました。また、参加者の皆さんに生理学的観点で身体の温冷調整について説明をすることにより、彼らもよりサウナについて深く理解することができ、温冷浴を試したり、自身のサウナ体験に対して積極的に関わるようになるのです。昨今のサウナに関するリサーチ結果、またオランダのアスリートヴィム・ホフの身体体温調整法やXPTトレーニングが普及したことにより、これまでのような古い文化的固定観念にとらわれず、もっとオープンで革新的な内容の会話がされるようになったと感じています。

5) ヘィングホテルでアウフグースのセッションをやってらっしゃいますが、アウフグースはサウナマスターから教わったのですか?どうやって習得したのでしょうか?

2014年に初めて「アウフグース」という言葉を知りました。ファイヤーハウスのサウナに入っていた時、誰かが私のことを「サウナマイスター」と呼んだのです。英語を話す私にとって「アウフグース」という言葉は気取った言葉に聞こえたのですが、それが褒め言葉であると知り、嬉しかったです。

私のことをサウナマイスターと呼んだ女性が、ドイツのパブリックサウナでは「サウナマイスター」と呼ばれる人が、サウナ内でロウリュにより蒸気を発生させながら、呼吸法や冷却のテクニックなどを用いて温冷のサイクルを誘導し、利用者がよりサウナによる健康的効果を感じられるよう手助けをするのだと教えてくれたのです。また彼女は、ドイツではそれが一般的な習慣であり、多くの人がお気に入りのサウナマイスターのスケジュールに合わせて、サウナ施設を訪れるのだと教えてくれました。

私はサウナマイスターのプログラムに参加しようと思ったのですが、一番受けたかった良いクラスはドイツ語でしか行われていませんでした。確固たる決心はあったものの、知識不足だった私は、ドイツ語を話す友達にファイヤーハウスサウナに入る代わりにドイツ語を教えてもらえるようお願いしました。ですが、ドイツ語を学ぶのはとても難しく断念し、私はサウナの協同組合(現在の612 Sauna Society)を作ろうと決心しました。結果的に、それがミネソタの地元にいるサウナマスターや温浴が好きな愛好家、熱狂的なファンたちに出会えるきっかけになりました。

ジョンさんがへウィングホテルのサウナにて参加者たちにエチケットやアウフグースについて説明している姿

6)最近の612 Sauna Societyの活動を教えてください。

協同組合制度へと組織を変えた後もとても順調に活動しています。現在171人のメンバーが共同オーナーとなり、ミネソタのアウトドアレクレーションセンターである「セオドア・ワース・パーク・トレイルヘッド」を拠点に活動しています。

「セオドア・ワース・パーク」に常駐しているモバイルサウナ

ととのったメンバーの満面の笑顔

7) 最近、何か新しいプロジェクトに取り組んでらっしゃいますか?

ジョンさんとコラボメンバーが新しく作ったレンタルモバイルサウナの写真

ジョンさん、貴重なお話をありがとうございました!!ぜひジョンさんの手がけたサウナに入ってみたい!と思ったみなさん、ぜひアメリカ、ミネソタ州にあるサウナを訪れてみてくださいね!


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